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役者ジェフリー・ラッシュを小劇場で観る幸せ
【2007年7月25日】

天才ピアニストのデイヴィッド・ヘルフゴットを演じた『シャイン』でアカデミー主演男優賞に輝いたジェフリー・ラッシュが、サリーヒルズの小劇場ベルヴォア・ストリート・シアターで上演中の『瀕死の王(Exit the King)』の舞台に立っています。

当然ながらチケットは完売……。が、しかし! 別枠で枚数限定の当日券が全公演で上演2時間前から販売されていることが分かり、運よくチケットが入手できたので、昨夜足を運んできました。


開演直前の劇場内のバー

もともとベルヴォア・ストリート・シアターは、取り壊しの危機にあった建物を救おうと、スーとクリスの2人が1,000ドルずつの投資を50人の友人に呼びかけて集まった資金を前払い金に充て、その後さらに増えた賛同者と合わせて計600人がオーナーとなってオープンしたというストーリーがあり、芝居をこよなく愛する多くの人たちの熱い思いがぎゅっと詰まった親密な空間で、毎年650以上の公演が行われています。

劇団「カンパニーB」の本拠地になっている上階(Upstairs)の客席数は全部で約340席。ステージと同じ高さにある最前列席は役者の汗が飛びそうな距離で、実際、ジェフリー・ラッシュが口に含んだ水を「ぶは〜っ」と吐き出したときには、水しぶきを浴びた人もいたらしく、「ごめんごめん。でも、エキサイトして早々にチケットを買ったりするからそういう目に遭うんだ」なんてジョークに場内大爆笑でした。当日券の最後列席でも、ステージまでの距離は10メートルほどしかなく、臨場感はたっぷりです。

いやはや! 無数の舞台に立ってきただけあって、ジェフリー・ラッシュってば、すごい役者だなあと感動でいっぱい……。その実力は映画でも充分発揮されているとは思うけれど、生はやっぱり素晴らしい。彼と共に20年以上に渡ってオーストラリアを代表する芝居を創り出してきたニール・アームフィールド監督もさすがで、ウワサ通り光と音がとっても効果的に使われていました。

同じ時代に生きて、彼らの芝居を小劇場で観ることができるささやかな幸せ。公演終了まで残りあと数日ですが、シドニーにいるならコレを見逃すテはないでしょ!

●Exit the King
  期間: 2007年7月29日まで
  (火曜18:30〜、水〜金曜20:30〜、土曜14:00〜/20:00〜、日曜17:00〜)
  場所: Belvoir St Theatre
  料金: A$32〜52


 

(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)
 
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