ホームラグビーワールドカップ2003 > 過去のコラム

ラグビー日本代表のオーストラリア合宿最終試合観戦記
【2003年4月15日】

日本代表
試合開始直前の練習風景
3月20日から約4週間に渡って、豪州遠征を行っていたラグビー日本代表が、帰国した。イラク攻撃により、中止の可能性も取り沙汰されたものの、外務省がスポーツ関連団体を対象に行った説明会で、オーストラリアはダイジョウブだろう、と判断して、実施に至ったということだった。

今回の合宿は、今年10月に開催されるラグビーW杯の現地視察を兼ねたもの。予選プール4試合のうち、スコットランド、フランス、フィジーと戦うことになるタウンズヴィルのデイリー・ファーマーズ・スタジアムでは、クインズランドレッズAと対戦し、合宿第一戦目を白星で飾った。場所を移したブリスベン、キャンベラでは連敗。合宿最終戦(第4試合)は、シドニーから車で約1時間のところにあるゴスフォードで4月13日に行われた。


日本代表vsシドニー代表
対シドニー代表戦
会場のエクスプレス・アドヴォケイト・スタジアムは、10月のW杯でも日本代表が予選プールの最終戦を戦う場所。収容人員は約2万人で、片方のゴールポスト後方にはスタンドがなく、それほど高くもない柵の外側に椰子の木が並び、道路を隔てて海がある。ゴスフォードは、「セントラル・コースト」と呼ばれるリゾート地の玄関口なのだ。歩道からはスタジアムがよく見え、W杯期間中も壁を立てるなどの無粋なことはしないらしいので、場外観戦と決めている人も、もしかしたら結構いるのかもしれない。(とはいえ、スタジアムでW杯観戦しても、チケットは決して高くない。たとえば、10月27日の日本代表の試合は一番高いA席でも$25!)

日本代表vsシドニー代表
対シドニー代表戦
この日の対戦相手は、シドニー代表。世界最強リーグと呼ばれるスーパー12出場経験者がずらりと並び、後半には元オーストラリア代表のノリエガ選手も出場した。日本代表は試合開始3分で先制トライを決めて、スタジアムを沸かせたのだが、その後はスピーディーな展開で次々にディフェンス網を突破され、結果的には47対80(前半28対52)と完敗。得点差が開くに連れて、スタンドの日本人は意気消沈していったが、逆に地元オージーの間ではジャパン応援ムードがぐぐっと高まった。

これと同じ風景を南アフリカで見たことがある。前々回のW杯(1995年)のニュージーランド代表オールブラックスとの対戦で、記録に残る大敗(17対145)を日本代表が喫したとき、いつしかスタジアム中の人たちが日本を応援していた。昨年、その得失点差記録を日本が勝って破ったと聞き、大いに期待していたのだが、世界の壁はまだまだ厚いようだ。

たたきのめされ、通用するもの、しないものを見極めて、チーム力を上げるのが、今回の遠征目的と聞いた。半年後に迫ったW杯の会場に足を運ぶファンは、日本らしさを誇示できるようなゲーム展開を期待しているはずだ。体格差を乗り越える「日本ならでは」のプレーをぜひともこの目で見て、「ね。ちっちゃくてもヤルでしょ?」とオージーの口の悪いラグビー好きのオヤジたちに言ってやりたい。彼らがいたわるチームなんてつまらない。

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)

●ひとつ前のコラムを読む
ひとつ後のコラムを読む