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新型インフルの流行、ピークを過ぎました
【2009年9月3日】

オーストラリア全体のインフルエンザ感染状況が減少に転じたことが、
連邦保健・高齢者担当省が発表する8月21日付けのインフルエンザ調査
概略報告書で明らかになりました。その後、WHO(世界保健機関)も、
「オーストラリアを含む南半球の大半の国々では、インフルエンザ流行の
ピークを過ぎたようだ」(参照: Pandemic (H1N1) 2009 update 63
と8月28日付けで発表しています。

入院患者数の推移からみると、どうやら新型インフルがピークを
迎えたのは、全国的には冬真っ盛りの7月中旬〜8月中旬だったよう。
シドニーのあるニューサウスウェールズ州では流行が早かったために、
ピークの訪れも早く、州保健省は7月中旬にピークに達した後、
8月下旬時点では例年の季節性インフルエンザを下回るレベルにあると
発表しています。いや〜、よかった、よかった!


2009年6月以降、新型インフルと確認されたNSW州の入院患者数
(出典:NSW Health

ちなみにオーストラリアの累計確認感染者数は全国で35,225人。
累計入院患者数は4,533人、死亡者数は160人と報告されています
(参照: 連邦保健・高齢者担当省の9月3日正午現在の最新版速報)。
確認感染者数はあくまで判定検査を行って陽性と確認された人の数で、
現在は各国で検査対象者が異なるために、この数字を単純比較しても
あまり意味はありません。


肺炎やインフルエンザ症状により救急外来から入院したNSW州の患者数の推移
(出典:NSW Health)

どちらかと言えば、参考になるのは、入院患者数や死亡者数ですが、
これまた現時点の数字だけを見て、「多い」「少ない」の判断は
不可能です。そもそも、通常の季節性インフルエンザで亡くなる人は、
平均するとオーストラリア全体で毎年およそ1,500人と言われています。

この冬全体の統計はまだ出ていませんが、8月7日までに提出された
州の死亡届の統計によると、肺炎またはインフルエンザを原因とする
死亡者数は、人口1000人当たり111人で、季節閾値の155人よりも
低い数字となっています。

国境を越える活発な人の動きがある限り、春が来たからといって、
あっさり終息とはいかないのかもしれませんが、オーストラリアが
季節性インフルエンザが流行した年とそれほど大きく変わらない
レベルで、懸念されていた山場を乗り越えたことは、これから冬を
迎える北半球の国々にとっても朗報と言えるのではないでしょうか?

 

(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)