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ヴァージン・グループの日豪路線参入に高まる期待
【2009年6月18日】

ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏が今月初めに
訪日した際の記者会見で、日本〜オーストラリア路線の就航に言及した
ことを受けて、オーストラリアを拠点にするヴァージン・ブルー航空の
CEOが日本乗り入れ開始を肯定したことが話題になっています(参考:
V veers to Japan)。

時期は、「今後18ヵ月以内」とかなり踏み込んだ具体的な話。現在
進められている羽田空港の再拡張事業後の国際線発着枠拡大を視野に
入れた動き……と受けとめられていますが、来年3月オープン予定の
茨城空港の可能性も取り沙汰されているようですね。

ヴァージン・ブルー航空は、オーストラリア国内線シェアの約3割を
占める一方で、系列の国際線ブランド(パシフィック・ブルー航空と
ポリネシアン・ブルー航空)を通じて、お隣りのニュージーランドや
インドネシア、南太平洋諸国への近・中距離国際線サービスを拡大して、
プレゼンスを高めてきました。


サー・リチャード・ブランソンは、有言実行の人 (c) James Morgan

さらに今年2月には、長距離国際線サービスを提供する新ブランド
「Vオーストラリア航空」が、ビジネスクラス、プレミアム・エコノミー
クラス、エコノミークラスの3クラス構成のボーイング777-300ER型機を
導入して、オーストラリア〜アメリカ西海岸間の太平洋路線に参入し、
近々オーストラリア〜南アフリカ路線も開設の予定です。

LCC(ロー・コスト・キャリア)ながら、空港ラウンジを設置したり、
マイレージプログラム「ヴェロシティ・リワーズ(Velocity Rewards)」
を展開したり、「ライヴ・トゥ・エアー(live2air)」と呼ばれる
ケーブルTVチャンネルのライブ視聴を機内エンターテイメントとして
提供したり……とサービス面において差別化戦略を進める個性的な
ヴァージン・ブルー・グループが日豪路線に参入することで、
どんな風が吹くのか、何だかおもしろいことになってきました。

特に注目したいのは、同社が「日本進出にはほかの航空会社の協力がいる」
という立場を明らかにしていて、全日空の名前が挙げられていること。
親会社のヴァージン・アトランティック航空が、全日空とコードシェア便の
運航をスタートさせることも決まり、関係はすこぶる良好と思われるだけに、
日豪路線の提携についても期待する声が高まっています。

全日空は、アンセット航空倒産のあおりを受けてオーストラリア路線から
2001年に撤退したっきり(参考: アンセット航空運行停止とその波紋)で、
国際線路線網からオセアニア方面だけがすっぽり抜け落ちているという
いわば“異常な状況”が続いていることを憂慮する声は、オーストラリア側
では決して少なくなかったのです。

そんなわけで、“アンセット破綻前”のように、適度な競合によって
日豪路線が再び活気づくことを心から願っています。

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(「地球の歩き方」オーストラリア・シドニー特派員ブログ掲載)