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オーストラリア初の「禁煙ビーチ」
【2004年7月12日】

オーストラリアは愛煙家にとってはちょっぴり肩身の狭い国。シドニーでは、すでにレストランやカフェ(屋外席をのぞく)、ショッピングセンターなど公共の場所のほとんどが喫煙禁止になっているが、この夏から新たに「禁煙ビーチ」が出現することになった。

オーストラリア初の禁煙ビーチにGOサインを出したのは、マンリー市議会。シティの北東約11キロに位置する旅行者にも人気のビーチ・タウンだ。対象となるのは、マンリー・ビーチをはじめとする地区内のビーチ、スポーツ競技場、子供用プレイグラウンドなど。続いて、有名なボンダイ・ビーチのほか、タマラマ・ビーチ、ブロンテ・ビーチなどを管轄するウェーバリー市議会も、同様の方針を決めた。

実施日や具体的な罰則などは、現時点ではまだ未定。コミュニティーからのフィードバックなどを受けながら、法に基づいた最も有効的な方法を検討するということだ。施行前には教育キャンペーンを先行させる予定で、周辺のほかの自治体に共同実施を呼びかける方針も発表されている。メルボルンやサンシャインコーストなど州外でも、追随する動きがあり、ビーチでの喫煙規制はオーストラリア全土で今後ますます活発化することが予想される。来豪中にビーチに出かける人は、禁煙ルールの確認をどうぞお忘れなく!

砂浜にポイ捨てされるタバコの吸い殻は、世界中のビーチに共通する大きな問題だ。禁煙運動をリードし続けているアメリカのカリフォルニア州で、続々と各地のビーチが禁煙になっていることをご存知の人もいるだろう。喫煙者に携帯灰皿を配布するなどのキャンペーンを繰り広げてきたシドニー周辺のビーチも、新たな手段に踏み切ることになった。

何しろ、タバコの吸い殻はボンダイ・ビーチだけでも約70万本。分解されるまでに何年もかかるだけでなく、水に溶けやすいニコチンなどの有害物質は、砂や海水に染み出して、自然環境や生態系を脅かす。これまでに、クジラや魚、鳥のお腹の中からの発見例も多数報告されているという。

環境汚染と並んで、禁煙ビーチ実施理由の筆頭に挙げられているのが、「パッシブ・スモーキング」と呼ばれる受動喫煙。愛煙家の訴える「吸う権利」に対し、嫌煙家は、周囲の人に「吸わせる権利」まではない、と反論する。職場での受動喫煙でガンになったと主張した女性に損害賠償が認定された例もある。愛煙家にはかなり分が悪い。どうやら、シドニーではそう遠くない将来、パブやバーも全面禁煙になる見込みである。

(「地球の歩き方」ホームページ・シドニー特派員レポート掲載)